アラサー女の旅と暮らし

静岡に住むアラサー(女)による旅と日常の記録

非効率の価値

「いかに効率よく仕事をこなすか」
社会人になって叩き込まれた言葉
効率、効率、効率…

 

特に飲食店で働いていた時は、効率的に動かないとよく怒られた。
ランチのピーク中は戦場だ。
チームプレーだから、フロント、キッチンの状況をそれぞれ気にしながら動かなければならないし、
優先順位を少しでもミスると怒号が飛んでくる。

 

1テンポでも崩れると、水出し、オーダー取り、料理提供、
全てが乱れ、立て直しがきかなくなる。

 

だから頭の中は常にフル回転。
次はああして、こうしてる間にあれやって…
それにプラス笑顔も作れって言うんだから、本当に参っちゃう。

 

週6日以上そんな思考でいたからか、
仕事以外のときも「効率重視」がデフォルトになってしまったよね。

 

時間がかかることや、やっても得にならないことはやらない。
モノもどんどん捨てて最小限を目指してたら勝手にミニマリストになってた。

 

ある時、フリーランスに憧れた。
会社勤めから逃げたかったのだ。

 

自分の持っているスキルで何ができるかと考えたとき
昔好きだったイラストで副業しようと思った。
学生時代はよくパソコンで絵を描いて掲示板に投稿していた。

 

iPad1台で色んなとこ旅しながら仕事できたら最高だなと思った。

 

でもここでも「効率」が頭を支配する
「早く成果を出さなきゃ」「効率的に稼ぎたい」
そこから
いかに手間かからず、量産的なイラストを描いていくかという思考になった。

 

そんな考えが先行するものだから、
描かなきゃという気持ちとは裏腹にどんどん描く手が止まっていった


描きたいものが分からない

 

描こうとしても描けない

 

あれ?そもそも私、絵描くの好きだっだっけ?

 

そんなところまで落ちてしまった。

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色々と迷子になっていた時のイラスト(デジタルイラスト)

 

それは、そう。
だって好きなこととお金は繋げて考えるものじゃないから。

 

だけど当時の自分は、本当の「好き」や「やりたいこと」が全く分からなくなっていた。

 

もう絵を描くのは諦めようと思ったけど、
諦めきれない自分がいた。

 

そして今年に入って転機が訪れる。
友人から「自分のお店(サロン)に飾る絵を描いて欲しい」と言われた。


お店のコンセプトが「あなただけの美」という感じだったので
1度描いたら量産できてしまうデジタルイラストではなく
1点モノのアナログ(絵の具)イラストの方がいいなって直感がきた。

 

そう直感したはいいものの、
わたしはこれまでデジタルイラストしか描いてこなかった。
アナログで描くのは非効率的だと思っていたからだ。

 

だって手間かかるし、場所とるし、片付け面倒だし、デジタルのようにやり直しもきかない、、

 

「最小限」でいたいわたしにとっては、アナログは真逆のものだった。

 

それでも友人のお店に描く絵はアナログの方がいいなと思ったから、
とりあえずYouTubeで色んな芸術家さんの動画をたくさん見てたら

 

絵の具で描くってすごく楽しそう!!🥺
って思った。

 

それから水彩絵具、アクリル絵の具、ガッシュ、、色んな種類の絵の具を買ってみた。

 

そしたら色々思い出した。

 

そういえば私、上京して初めて行った「世界堂」が夢の国のように楽しくて
何時間も画材見てワクワクしてたなーとか

 

名刺を印刷する紙を選んでいたとき、
質感や厚さ、触り心地にめちゃくちゃ凝ってたなーとか

 

建築事務所で働いてたとき、石やタイル、壁紙のサンプルbookがめちゃくちゃ好きで
見る度にウキウキしてたなーとか

 

色々思い出していくうちに気づいた。

 

わたし、根っからのアナログ派人間じゃん🥺って笑

 

そして試しに絵の具を使って描いてみたけど、
全然上手くできなくて絶望笑

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絵の具で描いた薔薇と夜

でもなんか分からないけど、描いててすごく楽しかった

 

ただやっぱり1日2日で描けるほど甘くはなく、
結局友人へのイラストはデジタルで仕上げることとなったけど…

 

でもこのことがきっかけで、アナログの良さに気づくことができたし
自分で見た世界を絵で表現できたらいいなと思うようになった。

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不透明水彩で描いた空と湖

効率だとか時間やお金…数字ばかりに縛られて
わたしは大事な何かを見落としていたようだ。

 

もちろん仕事では効率を考えて動くことが重要だと思う。

 

でも私生活においては、
一見面倒に思うことやお金にならないこと、手間がかかることこそ
自分にとっては癒しだったり、大切な時間なのではないのかと考えるようになった。

 

AIやITが進む時代だからこそ、ひと手間の価値を大事にしたい♡